まことしやかに語られるIT業界の実態(ウソ/ホント)



まことしやかに語られるIT業界の実態

IT業界についてよく語られる噂について個人的な経験に基づいた、嘘・偽りのない回答をしたいと思う。今回は、よく聞かれる以下の質問について回答する。(あくまで個人的な見解です。)

①.IT企業はブラック企業が多い?
②.残業が尋常じゃないほど多い?
③.残業代がでない?
④.プログラマー35歳定年説?
⑤.学生にはお勧めできる?

①.IT企業はブラック企業が多い?

【回答】ウソ(だと思う)
例えば、全産業全職種で比較した場合、介護業界/運送業/医療系(看護婦さん)などはブラック色は強いと思う。なぜこの3つを挙げたかというとそれぞれ知人がいてそれぞれの大変さを何度か聞いたことがあるから。

・介護業界
人の命を預かる仕事であり、夜間勤務の1人当たりの作業量が多いなど、精神的ストレスが多いにも関わらず薄給であり、とても魅力的な業界とは思えない。入居老人からの暴力や悪意のある職務妨害などもあると聞く。

・運送業
昔に比べ、高速道利用ルールが厳格化され相当な距離があっても一般道を使わざるを得ないことも多い。なおかつ、時間厳守に対するペナルティがキツく寝食の時間を削ってトラックを走らせる頻度が以前に比べ格段に多くなったとのこと。1か月のうち、家に帰れるのは数回というのが常態化している。

・医療系(看護婦さん)
看護学校卒業後のお礼奉公が今なお存在するなど、特殊な世界観満載。命を預かるのは介護業界と同じだが、準医療行為でのプレッシャーは介護業界との比ではない。バタバタしている病院に通院していたことがあったが、正確な仕事ができているのが通院者の方が怖くなるほどだった。

⇒IT業界
ブラック企業は全産業全職種で比べたら多い方だと思うが、以前に比べればだいぶマシなったと思う。ブラック企業が少なくなったというよりは、ブラックプロジェクトが少なくなったのだと思う。但し、ブラックプロジェクトは一度経験するとトラウマになるので注意。自分の場合、ブラックプロジェクトでの良い点といえば、尋常じゃないほどの残業代だけだった。あとブラックプロジェクトを一度経験するとスキルアップが加速することもある。

②.残業が尋常じゃないほど多い?

【回答】:ややホント
残業が多くなるのは以下のような負の温床があるからだと思う。

・優秀なPMが少ない(納期厳守は謳うが、スケジュール管理が激下手)
・上司の激務経験率が高いため、麻痺している。
・仕事の持ち帰りが比較的しやすい。
・残業代のでない企業が多い。

但し、ここ5年程で明らかに現場の空気感は変わったように感じる。電通の新人女性社員の過労自死事件などがあり、常軌を逸した長時間労働に現場の上の方の人たちが多少神経質になってきたように感じる。但し上の人たちも激務を経験したことで成長したと本気で思い込んでいる人たちは多いので、完全になくなることは当分ないだろう。そして半強制的に帰宅を早めることはあっても、仕事の持ち帰りなどは相変わらず発生している。常駐型案件ではやりづらいが、自社の受託案件の場合は、自宅PCに仕事関連資料にアクセスできる仕組みは比較的安易に作りやすい。私も、自社サーバを経由してお客さんのサーバにFTP接続してプログラムの入れ替えなどをやったことがある。会社に行かなくていいというメリットもあるが、やはりデメリットの方が多いだろう。
残業代の出さない会社は確かに社員の扱い方は荒いね。みなし残業代制度は明らかに社員の定額使い放題制度と解釈している会社は多い。

③.残業代がでない?

【回答】:ケースバイケース
みなし残業代制度を設けいている会社は確かに多い。また、残業時間の上限を設けている企業も多いだろう。もし絶対に避けたいなら、採用面接の際にちゃんと確認する必要がある。その際にちゃんと記録を取ることを進める。もしできればICレコーダーで記録を取るなど、企業側が絶対に逃げられないくらいの対策を労働者側が取る必要がある。労働者側が条件面で泣き寝入りを強いられることは本当に多い。

④.プログラマー35歳定年説?

【回答】:ウソ
完全にウソ。50代でもまだバリバリコードを書いている人はいる。さすがにプログラマしかできないという人はほとんどいないが、SE兼PGとして現場の中で最重要人物になっている協力会社の重鎮(≠プロパー社員)は何人も見てきた。
現場に何年かいて実績を積めば、雇い主側は手放せない人物として囲い込みを行うこともある。自分が知っているなかでは、フリーランスながら同一現場に20年という人を見たことがある。
さらに、金融業界の基幹系システムで60歳のCOBOLエンジニアを見たこともある。恐らく本人が現場志向で、現場でも貴重な人材として重宝されているのだろう。極端な例かもしれないがこのような技術者は確かに存在する。”プログラマー35歳定年説”の方が極端な表現のような気がする。

⑤.学生にはお勧めできる?

【回答】:ホント
特に文系で全く経験がなく迷っている学生さんもいるだろう。だが、新卒採用を行っている企業なら、新人研修及びOJT制度は実施しているところが多いだろうから、ちゃんと確認してみればいい。プログラム言語は1つしっかり習得してしまえば、2つ目、3つ目は比較的容易に習得できる。最初の1~2年は大変なことも多いと思うが、一生使える基本を若い時に身につけてしまえば、将来本当の意味で路頭に迷うことは少ないと思う。
また、この業界の働き方は本当に多様になってきた。社員として会社の中で出世を目指すのももちろん有りだが、フリーランスでプロジェクトを渡り歩くという選択肢も一般的になってきた。そしてフリーランスの立場は、他の業界の非正規とは明らかに違っている。一番の違いはもちろん報酬額だろう。ある程度、経験と実績、そしてスキルがあれば月単価100万円位は珍しくない。一般的なフリーランスの月額報酬の平均額は恐らく65~70万円くらいだろうか。これだけの報酬額があれば、非正規とはいえ社会的弱者とは言えないだろう。

 

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