心療内科がぜんぜん普通の病院と変わらない話



社会に出て早25年。
自分にとって、窮地というものが2回存在した。

1回目(1999年):ブラック上司に心身ガタガタ
2回目(2006年):月400時間労働で心身ガタガタ

どっちも2~3ケ月心療内科に通院し、どちらも退職という”逃げ”という手を使って難を逃れている。

自分は初めて心療内科に行くまで、ちょっとネガティブなイメージを持っていた。
(すいませんホントです。ちょっと”頭おかしくなっちゃった人”が行くところだと思っていた。)

実際はそんなことなくて、普通の病院と変わらなかったのだが、多分、過去の自分と同じように心療内科についてネガティブなイメージを持っている人ってある程度いると思ったのでこの記事を書いた。

ブラック企業
ブラック上司
ブラックプロジェクト
パワハラ、セクハラ、○○ハラスメント

何で苦しんでいるかわからないが、その状況から距離を置くことができる手段としても心療内科は使える。理不尽な環境から逃避することができず苦しんでいる人にも、「こんな手がある」というヒントになればいいかなと思う。

1回目の窮地(1999年)

最初の窮地は、人格がゆがんでいる上司と働くことによって起こった。その上司の下で働くまえから何回か”悪い噂”というのは聞いていた。何人も新人が潰されてきた的なことを何人かの先輩社員から聞いていた。しかもその上司は年齢の割にスキルは全然高くない。その上司と一緒に働き始めて最初の1か月で彼の異常性は垣間見れた。

・いきなりヒステリックに喚き散らす。
・大事な会議を体調不良で何度も延期させる。
(後に理由が判明し、単なる準備不足の言い訳だった)
・新人とかが資格とか取ると全力否定。
・一日の大半が不平不満をブツブツ言っているだけ。

最初の頃は、この問題上司のさらに上の役職者も一緒だったので、自分にベクトルが向くことはあんまりなかったのだが、この役職者が別プロジェクトに異動していってからは、この問題上司の負の部分は全部自分が背負うことになってしまった。

仕事はどうにかこなしていたのだが、この上司の下でだんだん精神が病んでいったのは何となく自覚している。

そして、ある日、朝起きた時に強烈な腹痛を感じた。その時の第一感は、”何か、とてつもないヤバイことが起きた!”だった。過去に感じたことのない痛みだった。すぐに病院に行って、病状を説明したら、至急胃カメラで検査しましょうってことになった。

結果はその日のうちに出て、検査結果は”胃潰瘍”だった。原因は、いろいろ考えられるが、ストレスも原因の1つとして考えられるというものだった。さらに、精神的ストレスを感じているのなら、”心療内科”でも行ってみたらと言われた。

その話を聞いて、自分は原因は1つしかないと思っていたのでさらに”心療内科”にも行ってみた。この時が、心療内科のデビューだったのだが別に普通だった。ただ、ここで話をしたのち、先生からは少し休んだ方がいいとも言われたので、じゃぁ、診断書書いてくださいって頼んだらすぐに書いてくれた。これで堂々と休めると思った自分は、診断書を手にした瞬間に
これで助かった!
と思ったね。早速会社に連絡し、2週間の療養に入った。ただ、自分としては2週間後、現場に復帰する気なんてサラサラなかったので、2週間経過後、会社の人事権を持っている上司と話をして退職の意思表示をした。上司からは、現場を変えてみたら?みたいな提案はあったが、あんな”キチガイ”上司を野放しにしている会社にもウンザリしていたので会社を辞めたのは正解だと思っている。

病状自体は、ストレスが原因だったので、療養に入って程なく回復したのは言うまでもない。

2回目の窮地(2006年)

2回目は、対人関係ではなく環境が大きな原因だった。プロジェクトがスケジュール上破綻し、デスマーチのインパール作戦。人的資源が全く足りてないのに利益優先で全く人員補充をしようとしない。2006年頃の出来事なのだが、その年の勤務時間は概ね以下の様だった。

4月:185h
5月:165h
6月:340h
7月:405h
8月:120h(3週目にダウン)

慢性的に残業が多かったが、6月頃から極端に多くなっていった。5月末にリリースしたシステムの潜在バグが多かったのか、正しく動かないというユーザ側からの指摘がアホみたいに入っていたのを覚えている。プラス、9月末リリース予定の2次開発も並行して始まっており、本来なら2チーム必要なところ受注していた自社の方針として現有メンバで乗り切るというのが基本方針だった。

さらに追い打ちをかけたのが、現場に入っていた協力会社のメンバがあまりの激務にブチ切れクレームを入れたのち退場していったことも残ったメンバの負荷の増大に影響していた。
(実際はクレームというよりは訴訟一歩手前のかなり激しいものだった)

どうにか残ったメンバで乗り切ろうしていたのだが、メンバの心身の疲労を顧みない自社の方針により1人また1人と体調を崩して辞めていくメンバが出始めていた。そんな状況で作業を続けていたのだが、ついに自分も8月の中旬頃耐えきれずダウンしてしまった。しかも、以前経験した胃潰瘍を再発させてしまった。

結局、以前通っていた心療内科に受診して、前回と同様に診断書を書いてもらいプロジェクトを離れることになった。ただ、この時は、1度経験があったので、変な心の葛藤みたいなものもなかった。

1つ逃げ道があるって認識することは精神の安定に絶対必要

2つの窮地で共通して感じたのは、
逃げ方
を知っているか、知らないかで精神的負担は大きく異なるということだ。

これを知らないと、会社やプロジェクトの思惑に100%従うしかなくなる。ブラック上司やブラックプロジェクトにどっぷりハマってしまうと正常な思考が疎外されてしまう。この状況をあまりに長く浸かっていると本当に取り返しの着かないところまで引きずられてしまう。

仕事に真面目に誠実に取り組むことは素晴らしいとは思うが、ほんの少し0.1%でも会社や上司から搾取されているのでは?と疑問を持つことは自分の身を守る上で非常に大切なことだと思う。

会社や上司ははっきり言って、社会通念上の正義より利益を優先する存在だということは頭の片隅に入れておくべきだろう。

逃げることは悪ではない

日本人の多くは”逃げること”は悪いことだとの認識を持っている。
教育の問題だろうか?
躾の問題だろうか?
”やりきる”ことが唯一の正義みたいな刷り込みをされている人って多いと思う。

自分は2回逃げて助かっているが、逃げることは決して悪いことではない。特に会社やプロジェクトといった多くの人間がいるグループが腐っている場合は逃げて距離を置くことが一番の対処方法であると思う。

話し合って環境を変える”とか
自分が踏ん張ればこの状況は好転する”とか
変な正義感を持つことは非常に危険だ。会社や組織に異常性を感じたら絶対に逃げた方がいい。

 

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