貧困問題の深刻さが身近にあって・・・



貧困問題の深刻さが身近にあって・・・

遠い親戚に振りかかる貧困問題

最近、自分に遠い親戚のオッサン(≠叔父)の相談事というかサポート依頼があった。血縁的にはちょっと遠い親戚にあたるのだが、家が比較的近いということもあり、家族同士がお互いに行き来するような間柄の親戚なのだが、その親戚には19歳のお兄ちゃんがいる。高校を卒業して、今は浪人生というかフリーターのような生活を送っている。
彼は本心では大学への進学はあまり熱心ではなく家が貧しいのですぐに社会に出て稼いで自立したいのが本音のようだ。
(この考え自体は立派なことで何も言うことはない。家の貧しさは彼の責任でもないし・・・)
彼は実際には(華やかに見える)IT業界に行きたいらしいのだが専門学校に行こうかどうか悩んでいるらしいのだ。IT業界で働きたいということは、中学生位の頃から何となく意識はしていたようだ。

そんな中、彼の親であるオッサンと19歳のニイチャンが自分のところに相談に来たのだ。

相談内容があまりに低レベルで・・・

相談内容は以下のとおりだった。相談というよりもサポート依頼だった。

・自分の仕事部屋を普段不在の平日昼間貸してほしい。
・平日昼間はパソコンも貸してほしい。
・何か勉強になるような本(プログラム言語)が欲しい。(古くていいので・・・)
・躓いたらサポートしてやってほしい
・やる気はあるが金はないので、何か”見習い”的な作業があれば回して欲しい。

概ね内容としてはこんなところだった。話を聞きながら、「コイツら、図々しい奴だな!(笑)」と思いながら聞いていたのだが、要は金がないので社会人デビューするまでの間の教育全般を丸投げでお願いしたいということだった。

本気で将来を考えたのか?

結論を先に言うと、自分はこの支援要請を一蹴した。一蹴はしたのだが、彼らの本気度を測るために幾つか質問をした。

(自分)「学校通うなら奨学金(教育ローン)もらって行ったら?」
(相手)「数百万の借金なんて怖くてできない・・・」
(自分)「何で俺のところに来るとIT業界で働けるの?」
(相手)「・・・」
(自分)「IT業界で働くために必要なことは調べたの?」
(相手)「・・・」
(自分)「実際にスクールの費用ってお幾ら万円なの?」
(相手)「・・・」
(自分)「何で何も調べないの?」
(相手)「・・・」
(自分)「IT業界で働きたいって本気なの?」
(相手)「・・・」

どの方向性に行こうとしているかはわからないが、IT業界を就職先として選ぼうとしているのは正解だと思う。IT業界の人材不足は経産省の試算でも相当深刻な状態で出ているし、自分の肌感覚でも感じることは多々あるからだ。だけどね、この会話からは、自分には何も伝わらなかった。こっちは、相手の本気具合がわからなくなってしまった。
本気で「これやりたい」や「こうなりたい」ってのがあるなら、ゴールから逆算して、経済的コスト、時間的コストを計算するはずなのにその辺の作業は全くやった形跡がない。
そもそも、中学生位から意識していて、尚且つ、金がないなら、
「何で、情報処理科のある商業高校を選ばなかった?」っていう疑問も湧いた。
(商業高校の情報処理科が適切なのかどうかわからないが・・・)
会話の後半は、こちらがマウントポジションからボコボコにするだけになってしまい、彼らは何の反論もできずにトボトボ帰っていった。

貧困が悪なのは思考まで貧弱になること

貧困にまつわる悪影響を表すよく聞くフレーズはいくつかあるが、今回の件で特に以下のフレーズを思い浮かべてしまった。

・貧すれば鈍する
・貧は諸道の妨げ

彼らとの会話で痛烈に感じたのは上の2つのフレーズだ。要するに、貧乏過ぎてまともな思考ができなくなっているのだ。だから安易に、自分のところに来れば、
「いい感じで仕事にありつけて、勉強もしてればIT業界に潜り込めるんじゃね?」
なんて薄っぺらい考えに至ってるのだ。実際にIT業界で働きたいなら、ルートはいくらか存在する。

【一般的なルート】
・大学を卒業後、IT系企業に就職する。(文系でももちろんOK)
・1~3年程、(昔からある)専門学校に通って就職する。

【特殊?なルート】
・ハローワーク主催の教育課程を受けて就職する。
・3ヶ月ほどの(就職斡旋付の)短期スクールを受講し就職する。
・クラウドワークスみたいな所で経験を積みスカウトを受ける。

【大胆なルート】
・未経験OKの求人に応募する。(ブラックの可能性はあるが・・・)

上に挙げたルート以外にもあるかもしれないが、彼らは、”金がかかる”っていう一点のみでこれらの候補は除外していたようだ。というか細かく検討したような感じではなかった。
多分、貧困の一番の弊害というか悪影響は思考まで停止してしまうことだ。この親戚のオッサンは恐らく平均的な額の世帯収入を稼いだことがないのだろう。数百万の借金ですら狼狽しオロオロしてしまうので、将来の為の投資という概念が存在しないのだろう。
結局、彼らに経済的なサポートはできなかったが、最後にちょっと刺激が強いとは思ったが、自分の今の稼ぎを見せてやった。オッサンは自分の数倍の稼ぎに驚いたようだが、この19歳のニイチャンにとっては良い意味での刺激なったようだ。ちゃんと本腰入れて考えるきっかけになったのなら幸いだ。

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