NHKスペシャル 雇用激変を再度考えてみる



NHKスペシャル 雇用激変を再度考えてみる

大分前になるが、”NHKスペシャル雇用激変” を見て思うことが何点かあった。
フリーランスのエンジニアは正規か非正規かって言われれば非正規なんだろうけど、自分は今までこの番組で語られる程の非正規の悲惨な状況に陥ったことがない。自分の知っている限り、他のフリーのITエンジニアでもこんな過酷な状況の人間を知らないので、本当に他の業界は大変だなって思ったんだけど・・・特に、へ~と思ったのが、何点かあった。
どれも、大変な現実なんだが、じゃぁ、何で転職するなりしないんだ?っとも思った。もっと言えば、他の業界や給与水準、そして自分が転身できる可能性をなんでもっと考えないんだろう?って思った。以下、番組内で語られていたことに対する私見を簡単に述べたいと思う。

1.派遣や契約社員など、非正規社員から正社員になれる確率はたったの15%

非正規から正規に移れるのはたった15%。だから今、正規の人間はしがみつけ!。相変わらずの論調。正規:正義、非正規:悪の一本調子。
正規でも、死の淵を行ったり来たりするほどの長時間労働やパワハラ三昧の過酷な現場。非正規でも正規の2~3倍の給与がある現実。このような現実は全く無視。ITエンジニアなら、非正規の2~3倍の給与ってのは普通にあるのだが、何故、この手の番組は、非正規は悪という論調一本になってしまうんだろう。ここに登場した人たちは、どれも過酷な状況だったが、こういう逆の現実があることを何でもっと伝えないんだろう?
何故、非正規が悪なのではなく、何のスキルもないことが悪だということを伝えないんだろう。非正規から正規への移動が問題を解決する回答ではない。根本は一人一人がちゃんと食っていけるスキルや能力を身につけることだと思うのだが・・・。

2.平均年収にすると正社員478万円に対して非正規170万円

非正規の170万円って、月額約14.2万円!恐らく時給換算で900円位か。これって普通のバイト並みの給与だろう。これもホントか?って思ったんだけど、非正規の人に逆に聞きたくなったが、なんでこの額で働き続けられるんだ?って思った。
これは、正直言うと、ヤラセor過剰演出だと思った。
企業側を擁護するつもりはないが、今の時代、何のスキルもない人間を正社員で雇うほど企業に余裕はない。

3.非正規の子どもは非正規になるという現実!

そりゃ~、そうだろう。もし非正規の年収の平均値が約170万円だったら、子供の高校進学だって厳しい。ましてや塾やその他の習い事なんて誰もできないだろう。子供がいて非正規で年収約170万円っていうのは、子供が持っている可能性の大部分を消し去る程、強烈な状況だ。ぶっちゃけ一年で170万しか稼げないのなら親になる資格はないだろう。
何年か前に”下剋上受験”(両親:中卒、娘:有名私立中受験の奮闘記)が、話題になったがあれほど、あの親子のように現状に対して抗う家庭って少ないと思う。っていうか経済的観点から不可能だろうし、両親ともに低学歴だと、高学歴のメリットなんかわからないから自然と同じ道を歩むことが多くなるのだろう。

4.解決策?

番組では、非正規問題の解決策として、”限定正社員”というものを取り上げていたが、ぶっちゃけこんなもの企業側のさじ加減で、瞬間的に消滅してしまうので根本の解決策とはならないだろう。次のような「限定」が取れてしまうような問題が発生したらどうするんだ?

・業績悪化で、店舗や工場や事務所などがなくなるor遠方に移転された場合。
・業務縮小で、限定正社員の仕事がなくなった場合。
・営業時間の変更でフルタイム勤務が不可能になった場合。

限定正社員の場合、常にこのようなリスクが付きまとう。だいたい、この限定正社員制度があるからって安心感を得られているのだとしたら、相当危機意識が低いと言わざるを得ないだろう。

現在、非正規労働者は約40%に達している。中にはパートやアルバイト感覚でやっているので構わないという人もいるかもしれないが、限定正社員が非正規労働者の完全な受け皿になることは考えにくいだろう。

また、お菓子メーカーの会長さんが、
「全員正社員化」、「従業員の人間性の復活」、「悪循環の根絶」を唱えていたが、結局、具体的な対策は触れずじまい。

でも、根本的な解決策はあるよ。あるよって言ったけど、”ごくごく普遍的なこと”それは・・・

(スキルを身につけ)自力で這い上がるしかない。

っていうこと。何を無責任な!って怒られるかもしれないが、正規か非正規っかいうことよりも、スキルがあるかないかってことで考えなくてはいけないと思う。このスキルは、資格のような曖昧なものではなく、実際に食える技術であったり、ノウハウであることは言うまでもない。

 

 

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