ずっとIT土方であったが、おおむね快適な件



IT土方の負のイメージが全く払しょくされない。
1年以上前の記事で”IT土方上等”的なことを書いたのだが・・・

IT土方上等、意外に快適

残念ながら、世間一般的なイメージとしてのIT土方というは、未だにちっとも改善されていない。そこで今回は、もう一度、IT土方のメリットをわかりやすく書いてみたいと思った。
10年位に公開された映画
”ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない”
のイメージも強いのかな?

IT土方の一般的イメージ

IT土方(SESでITエンジニア)っておおむね以下のイメージだろう。

・長時間労働の慢性化
・徹夜・休出の常態化
・低い給与
・ブラック企業・ブラック上司・ブラックプロジェクトが当たり前

ネガティブなイメージが並ぶ。こんなフレーズを何度も何度も聞いていればプログラミングに興味を持ったり、エンジニアになりたいと思っても、なかなか一歩を踏み出す勇気なんか湧いてこないという心理は十分理解できる。自分も同業者でない知人や友人と飲んだりすると決まって以下のような質問を投げかけられたりする。

・エンジニアでぶっちゃけきついんじゃないの?
・エンジニアになったら、人生オワコンじゃないの?
・エンジニアになったら、過労死しちゃうんじゃないの?
・エンジニアになってしまうと、精神病んじゃうんじゃないの?
・選んだ業界間違えたんじゃないの?

自分はFランク文系大学を卒業して、
「外回りなんかの営業職なんてやりたいない!」
という後ろ向きの理由でこの業界を選んだ。

もうすでにこの業界で25年程働いている。当然嫌なこと、辛いこともたくさん経験してきた。しかも90年代~00年代中頃までは当然のように徹夜・休出当たり前な状態だったので、ブラック企業、ブラック上司、ブラックプロジェクトというのは、ごく普通にそこら辺に転がっていた。でもね、総じて言えることは、この業界を選んでよかったと思っている。いろいろ理由はあるのだが、今までどんなことを感じ、そしてこの業界の将来、自分の将来についてちょっと落ち着いて書いてみたい。

大抵はプログラマ=業務委託(現場常駐)

IT土方は基本的に大手SIerに常駐する形で業務を行う。この場合、エンジニアは業務委託という勤務形態をとる。そして、エンジニアにとって、この働き方は一番良い働き方だと思っている。理由は主に2つある。

過度な責任を負わなくてよい

業務委託の場合、時間による縛りはあるが、成果に対する縛りは基本的に発生しない。契約書には以下のように書かれていることがほとんどだ。

作業内容:〇〇プロジェクトに従事する
作業時間:140-180h(不足超過は別途精算)

基本的に成果物に対する責任は負わなくてよい。もちろん、1つ1つの作業は現場上長の精査、確認作業が入る為、無責任に作業ができるわけでは決してない。ここでいう責任とは、プロジェクトが失敗した場合、損害賠償責任が発生しないということを意味する。ただし、プロジェクトが失敗したという事例を自分は経験したことはない。

大手SIerの労務体系に守られることがある

大手の場合、現在は過度な時間外勤務は禁止もしくは規制されているところが多い。月の稼働は180h以内といった具体的な数字での縛りがあるのが普通で、これらのルールは業務委託で働いている協力会社のエンジニアにも適用されていることが多い。そのため、プロジェクトのスケジュールは非常に余裕のあるものであることが多い。
これが、中小が大手から受託という形で仕事を請け負っている場合、このルールは当然適用されない。受託開発に不慣れな中小がプロジェクト管理を誤った場合に開発現場が修羅場になるということは今でも往々にしてあると思う。(自分が経験した修羅場もほとんどこのケースだった)

フリーランスなら2~3倍貰えることも珍しくない

IT土方の場合、正社員エンジニアとフリーランスエンジニアと2つの形態がある。そして月額単価で行った場合、正社員エンジニアよりもフリーランスエンジニアの方が高いのが普通だ。例えば、業務委託で大手SIerに常駐している場合、30歳前後(経験6~7年)なら大体以下のモデルケースが一般的ではないだろうか。

正社員   ・・・受注額:約70万円、本人報酬:約30万円(税引き前)
フリーランス・・・受注額:約70万円、本人報酬:約65万円(税引き前)

正社員の場合、夏冬のボーナスが2か月分くらいあるだろうか。ただどっちにしろ、本人報酬でいえばフリーランスの方が高額というのは一般的だろう。ただし、フリーランスの場合、毎年2~3月頃にかけての確定申告で気を失う程持っていかれるので普段から意識しておくことは必要だ。

プログラマ35歳定年説ってなんだったの?

このフレーズって自分が20代の頃から言われているが、当時も今も変わらないことが一つある。それは、35歳以上でも普通にみんな設計してコード書いてテストしている。むしろ35歳以降のエンジニアの方が知識の幅も広く細部まで精通していることが多い。むしろ35歳以降からの方がエンジニアとしての真価を発揮できることは多いんじゃないかな。
ただ、このくらいの年齢で、管理に進むか、現場に残るかの選択を迫られることは多いと思う。

大手に転職しちゃう奴もそこそこいる現実

これは結構みてきた。中小で働いていたエンジニアが退職する場合、そのタイミングで、大手SIerが引き抜くために声をかけたりする。大手SIerもエンジニア不足というのは深刻な問題として存在しているが、求人誌に募集をかけるより、実際に現場で実績を積んできた退職予定の協力会社社員を引き抜いた方が、エンジニアとしての質は担保されているので失敗ははるかに少ない。このようなケースは昔は御法度だったような気がするが、ここ数年でこのような事例は多く見かけるようなする。
自分が一番驚いたケースでは、協力会社から15人ほどのチームで来ていた全員を根こそぎ引き抜いていったケースだ。このときは在籍していた会社の経営が傾いていたことが根本原因としてあったのだが、このような場合でも個々のエンジニアの方がスキルや現場での実績がある為、救済される可能性は高いと思う。

暇してる期間も結構あって

設計も製造もテストも、スケジュールに割り当てている全期間で忙しくしているケースってほとんどない。もちろん経験を積むことによって、”要領よく”作業をこなせるようになったことはあるが、経験の多い少ないに関わらず年中忙しいというのは考えずらい。

「じゃぁ、暇している時間って何やってんの?」ってなるのだが、自分の場合大体以下のことをして時間を”潰し”ている。

スキルアップにつながる知識の吸収

IT関連の勉強をしていることが多いが、業務に関することの知識の吸収を図ることも多い。興味のある書籍を自炊してPDF化した書籍をこのようなブログに隠し持ったりしたりして読み込んだりしている。この場合現場で必要とされるスキルとは関係ないことでも構わないと思っている。AIやブロックチェーン、Iotなど、およそ今の現場で必要になりそうでないテーマであっても”今知っておきたい”を最優先にして選んでいることが多い。

現場を居心地よくするための環境整備

テストデータを作るためのツールや設計書や関連ドキュメントをすぐに取り出せるようにするための仕組みつくりなど、ちょっとでもストレスを感じていたことを少しでも軽減できるような環境整備に時間を使うことがある。このような作業というのは現場が変わっても有効に使えることがある為大切にしている。

結論:今の労働環境なら完全に”買い”なんだが。

この業界に入って25年ほど経過したが、今の労働環境ならこの業界は完全に”買い”だと思っている。一番大きいのは、自分自身にスキルを身を着けることができるからだ。40過ぎて同窓会を開いたりすると、リストラに会い路頭に迷い右往左往しているという話を聞くケースが多くなった。自分は正社員ではないので、このような会に出席し今の状況を話すとなぜか同情されるのだが、自分の将来に不安を抱いたりすることは全くない。
働き方というのは正社員、フリーランス、起業などいろいろあるが、IT業界でIT土方という生き方は全産業、全業種と比較しても決して劣っているとは思わない。スキル次第でいくらでも稼げるし、そして社会貢献度の大きい仕事だと思っている。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です