とある、お嬢さんの数奇な運命(ホントの話)①



とある、お嬢さんの数奇な運命(ホントの話)①

別に変な話ではないです。20代後半になって突如エンジニアに目覚めた、お嬢さんの話です。
「エンジニアへの転身ってこんなのもあるんだ」程度に読んで頂けると幸いです。
これは、自分がフリーランスになって最初の現場であった、あるお嬢さんの数奇な運命のお話です。実話です。簡単に状況を説明すると・・・

状況・背景

登場人物
ヒロミ嬢(28 or 29歳(当時)独身)
自分  (41歳(当時)独身)

部署
PMO(※)部隊
PMOとは、プロジェクトを円滑かつ品質の担保が保証されるような仕組みづくりやルール化などを制定し、複数のプロジェクトを横断的に管理する部隊。

時代
2014年3月~2015年3月末

場所
品川駅港南口を出てすぐ左に折れると出現するNTT村の一角、NTT ドコモビル28階。
(このビル山手線の車窓から見れます。なんかロボットの”出来損ない”のようなビル)

運命の出会い

フリーランスになって初めての現場で、PMOメンバとして参画した。PMO部隊は約5名で、複数のプロジェクトの進行具合や、また円滑に運営されるための仕組みづくりやルール化などを行っていた。(例えば、障害票の自動集計化やライブラリ管理の自動化ツールの作成など・・・)
2014年1月から参画したが、特に管理しているプロジェクト自体に大きな問題は存在していなかったので、参画のタイミングとしては良かった。現場に慣れるまでに十分なOJTは受けることができたし、一緒に働いているメンバもいい奴ばかりだった。
そして、仕事にやや慣れてきた、3月頃、テン●●タッフ経由でこの現場に入ってきたのが”ヒロミ嬢”だ。もともと打合せやレビューなどに参加する頻度の高かったPMO部隊で、会議室の予約や紙資料の印刷、電話番など、どちらかといえば雑用に近い作業を担当するメンバとして参画してきたのた。
席は私の隣だったが、上記のような位置づけで入ってきたので、私を含めた他のPMOメンバとの心理的な距離感は存在した。半年くらい経った後に聞いたら、この距離感(自分だけヨソ者感)がすごい嫌だったと言っていた。
もちろん、ヒロミちゃんはこの時点では、PCが辛うじて使える程度、ExcelやWordも文字の入力はできるが、関数やVBAなどは使ったことのない、いわゆる一般的な事務屋さんというスキルレベルだった。(時給は1400円って言ってた)

きっかけ

ある日、ヒロミ嬢以外のPMOメンバが打合せで離席しているときに、電話が鳴った。要件はExcelVBAツールの緊急での修正依頼の件だったのだが、その時に使っていた打合せ室が、内線のないコモンスペースのような場所でフロアも違った為取り継げない。仕方がないので、とりあえずヒロミ嬢が、要件を必死になって聞いてくれていた。
電話番も自分の仕事だったので、「戻ったら折り返し連絡します。」とは言えなかったようだ。”緊急”っていう言い回しもあったし・・・。

自分たちが戻ってきて、半分意味不明な内容を必死に伝える彼女は、顔面蒼白で涙目状態だった。”マクロ”、”変数”、”NULL値”、”属性”、”ループ”、なんて聞いたこともない単語が飛び交っていたので本当に大変だったようだ。
まぁ、別のメンバが折り返し電話し、内容を確認し事なきを得たのだが、彼女の方は、相当ショックだったようだ。と同時にこの現場にいる以上、多少なりともExcelの関数やVBAについては知識がないとマズいと感じたらしい。自分だけ自席にいて、他はみんな打合わせなんて状況は頻繁に起こるのだから・・・。ちなみにこれも後に聞いたことなのだが、今までは飲食店などの接客業しかやったことがなく、時給もせいぜい1000円程度だったので、この現場での仕事はできる限り続けたかったみたいだ。(最初から時給は1400円、月換算で5~6万程稼ぎに差がでる為)

説明というか、特訓というか

この一件を機に、彼女はPMO部隊で管理しているツール群についても興味を持つようになった。管理しているツールは40~50本程あったように思う。その中でも使用頻度の高いのは5本程度だったので、まずはその5本のツールについて、実際に動かしながら説明した。説明は席が隣の自分が担当した。

説明といっても、要するにF5とF8ボタンを押しながら、途中の変数の値とか、動きとかを説明する感じ。だから、ウォッチ式とかイミディエイトウィンドウとかは省略した。おおよその動きが分かれば、ツールの機能は理解できるし、Excel VBAの世界観を説明するのが、主目的ではなかった為。
彼女の方は、一日に2~3時間位は触っていたんじゃないかな。まぁ、たまには中途半端な状態でF5ボタンを押して、永久ループが発生し、慌てて電源断や、印刷機能のあるマクロを何の条件設定もせず、実行してしまって2~300枚ほど、無駄な印刷を発生なんて失態もあった。
みんなは、彼女自身の”やる気”に免じて大目に見ていた。
唯一の女性だった為ていうのもあったと思う。ちなみに自分が同じミスしたら重し付けて東京湾に沈められちゃう。orz
まぁいろいろあったが、1~2か月程経った後では、使用頻度の高いツールについては、おおよそ理解していた。

そうこうする内、マクロの簡単な修正は、彼女自身が行うようになった。一覧の表示列の入れ替えだとか、ファイルパスの変更だとか、簡単な修正依頼については、彼女自身が依頼を受けて修正と動作確認を行い、PMOのメンバ(VBA有識者)に修正前後のソースコンペアを見せながら、「これでいいっすか?」みたいな感じで確認をし、問題なければ依頼元に返すみたいな手順で行い、徐々に彼女の仕事の守備範囲は広がっていった。

つづく

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です